大晦日に起き出してきたクマ管理人、制服ぼたんです。
お久しぶりで申し訳ありません。
さすがに年越し冬眠はマズイよ人として・・・・・・と霊長類の本能がささやいたので、このいそがしい年末にアレですが、書き溜めていたもののひとつをUPしたいと思います。
仲謀も花も出番僅少の、いつものモブ大活躍話です。
すみませんこれが制服クオリティ。きっと来年も路線変更なし。
みなさま、よいお年を。
副題は「揚州なう!」。
揚州は基本、こういうノリだと思います。
「つづきを読む」からどうぞ~。
お久しぶりで申し訳ありません。
さすがに年越し冬眠はマズイよ人として・・・・・・と霊長類の本能がささやいたので、このいそがしい年末にアレですが、書き溜めていたもののひとつをUPしたいと思います。
仲謀も花も出番僅少の、いつものモブ大活躍話です。
すみませんこれが制服クオリティ。きっと来年も路線変更なし。
みなさま、よいお年を。
副題は「揚州なう!」。
揚州は基本、こういうノリだと思います。
「つづきを読む」からどうぞ~。
「ちかごろ流行りたる」
揚州の中心、河口の要衝。国でも指折りの華やかな街。うるわしき一族の統べる城。
ここはいつでも、にぎやかで新鮮な活気に満ちている。
そんな京城で、ちかごろ流行っているものといえば。
いつもの朝、城内の大広間。
彼らは左右に分かれてきれいに整列したまま、のんびりと語りあった。
「やっぱり今日は遅刻ですかのう?」
「三日前に視察からお戻りなったばかりですからなぁ。まだまだ、お名残りが尽きぬでしょうし」
「しかし、お戻りになった翌日は、時間どおり朝議においでになりましたぞ?これは仲謀さまもご成長なさったと、それがしは感心しましたが」
「ほっほっほ、ご無理をされておいでだったのじゃよ。げんに昨日は、思いっきり寝坊しておられた」
「うむ、さすがに一刻も遅れるとはそれがしも予想できませなんだ。これで三連敗ですな」
「では、今日はいかがしますかな?吾輩は、『小半時ほど遅刻する』に十銭を賭けますぞ」
「ほほっ、それでは儂は、半刻に二十銭といきますかのぅ」
「四連敗は避けたいですからな・・・・・・ここは仲謀さまの自制心と奥方さまの慎ましさを信じて、それがしは『ギリギリ間に合う』に十銭」
新婚の君主が朝議に出てくるまでの時間が、家臣たちの賭けになっている。
日が高くなって、とある回廊の片すみ。
侍女たちは掃除用のはたきを持ったまま、ひそひそとささやきあった。
「ねえねえ、きのうの黄家のおぼっちゃまとの逢瀬、どうだった?」
「ふっふっふ、バッチリ仕留めたわ!こんどウチの両親にもあいさつに行きたいって」
「ええーっ、やだ、すっごい!あの堅物を落としたのー?」
「いいなあ、ゆくゆくは大金持ちの奥さまなんて、うらやましいわ~」
「いままでいろんなコが迫っても、ちっともなびかないって評判だったのに。どうやったの?やっぱり色仕掛け?」
「あら簡単よ。ちょっと転んだふりして、こう・・・・・・足をちょっとね、裾からチラッと」
「まあ」
「それから『くじいてしまったみたいです』って言って、手当てしてもらいながら、さらに・・・・・・ね。これでイケたわ。毎晩、ムダ毛の手入れをしておいた甲斐があったってもんよ」
「やるわね。私も、こんど街に出たときに、足用の美容ぬり薬を買わなきゃね」
「・・・・・・やっぱり時代は足ね」
「ええ、足ね」
『玉の輿に乗りたければ巨乳より美脚』が若い女性のあいだでトレンド化。
もうすぐ正午、ひろい台所の一角。
城内のまかないを一手にあずかる料理人たちは、かまどの前に集合していた。
「・・・・・・完成だ・・・・・・ついにできたぞおおお!!」
「やりましたね、料理長!」
「みごとな焼き上がりです、料理長!」
「なんてうつくしい黄金色、なんて濃厚な香りなんだ!これが・・・・・・これが『ちーずけーき』なんですね!」
「そうだ、ようやくこのときが来た!・・・・・・苦節半年、奥方さまにお話をうかがって以来、試行錯誤と改良を重ねてきたこの『ちーずけーき』、ついに製法を会得したぞ!」
「ううっ、苦労したなあ・・・・・・あの牛の乳しぼりの日々、忘れません」
「ありがとう、諸君の努力あったればこそだ。この貴重な製法は、揚州の秘宝として、我われ料理人の輝く星となるだろう・・・・・・だが」
「ええ、料理長!ここで終わりではないですよね」
「その通りだ!奥方さまのおっしゃる異国の未知なる菓子……『てぃらみす』『しゅーくりーむ』など、まだまだ製法が解明されないままだ。我われはこれからも、料理のあらたな可能性を開拓し続ける!いいな!」
「はいっ、料理長!どこまでもついていきます!」
城の炊事場が、いつのまにかパティシエ養成所(熱血)になっている。
うららかな午後、城門から港へと続く大通り。
ところ狭しと並んだ店の軒先で、商人たちの元気なやりとりが続く。
「おっと、そこへ行くのは、南通りの旦那じゃねえですか!今日はどちらに?」
「よう、お前さんか。今日は港のほうにウチの船が着くんでね、検分にいくところさ。南方から、あたらしい布地を仕入れたんだ」
「そりゃあ景気のいいことで、うらやましい」
「なぁに、お前さんの店だって、さいきんは大繁盛だって噂だぜ。おかみさんご自慢の肉饅頭とエビの包み揚げ、あっというまに売りきれるそうじゃないか」
「へへっ、おかげさんで、今日も昼で完売です。女房も、これだけ売れりゃ毎日ご機嫌でね。こっちは女房のカミナリにビクビクしないで済んでます」
「ウチも同じさ。じつは今日の布地も、家内のおねだりでね。・・・・・・おおっ、お前さんも、この『呉印守』を買ったのかい?」
「もちろんですぜ!なんつっても、ご利益満点だって噂ですからね。ここらへんじゃ、みんな店先に下げてますよ。旦那は?」
「ウチはお札と厄除けの人形を買ったよ。毎朝おがむといいらしいね」
幸運と家内安全のお守りとして、呉印グッズがバカ売れ。
西の空がほのぼのと赤く染まるころ。街角のとある巻物屋。
息せき切って走りこんできた文士ふうの若者が、店主に向かって叫んだ。
「すまない、おやじさん!店じまいはちょっと待ってくれ」
「いらっしゃいませ・・・・・・って、ああ、はいはい。アレね、取ってありますよ」
「ほ、ほんとか?いやあ、助かる!さすがに今月は売り切れかと思った」
「お客さまには、いつもごひいきにしてもらってますからね。こんなこともあろうかと、入荷したときに、一巻だけ取り置きしておいたんですよ」
「さすがだなあ……ああっ、ありがとう!これこれ、待ってたんだ最新刊!『ドキドキ☆長江の初逢瀬』か!」
「たいそうな人気ですねえ。今日は朝から、お求めのお客さんがひっきりなしですよ」
「だろう?俺みたいな若造だけじゃなくて、いいとこのご令嬢やらご隠居さんまで、みんな読んでるんだ」
「たしかに、いま揚州でいちばん注目されてらっしゃるおふたりの話ですからねえ。しかも、お書きになってらっしゃるのが・・・・・・いったい何者なんですかね、あのご姉妹」
「おやじさん、それは禁句だ」
大喬・小喬姉妹の著作『もう残念とは言わせない~へタレ君主・初恋のゆくえ~』がベストセラーに。
あたたかくしずかな夜、城内の奥まった部屋。
こぢんまりとした食卓を、若い夫婦が仲むつまじく囲んでいる。
「なんだ、この黄色いの。菓子か?」
「うん、そうなの。わたしのいた世界のお菓子でね、チーズケーキって言うんだよ」
「へえ、かわった匂いしてんな。うまそうだが」
「すっごくおいしいよ!ぜんぜん向こうの味に負けてないんだもん、びっくりしちゃった。お城の料理人さんたちって、すごいね。あいまいな作り方しか教えてあげられなかったのに、ちゃんと作っちゃうんだもん」
「このあいだの『ぷりん』だったか?あれもうまかったが・・・・・・つーか、なんで菓子ばっかりなんだよ」
「うーん、ちゃんとしたお料理も、いろいろあるんだけど。調味料がやっぱりね、こっちと違うからむずかしくて」
「なるほどな・・・・・・近いうちに、また出入りの交易商に聞いておいてやるよ。おまえの故郷と似た味付けができるようなモンがあるかもしれねえし」
「ありがとう、仲謀。でもいまは、こっちのお料理を覚えるのが楽しいからいいの。ほらこれ、今日教わったの。豆と根菜の煮物なんだけど、どうかな?味付けだいじょうぶ?」
「おう、ちょうどいい。うまいな」
「よかった!あ、お茶のおかわり入れるね」
夫婦水入らずの、ゆったりとした甘いひとときが、何よりのしあわせ。
揚州の中心、河口の要衝。国でも指折りの華やかな街。うるわしき一族の統べる城。
ここはいつでも、にぎやかで新鮮な活気に満ちている。
そんな京城は、これからもますます楽しく発展していくだろう。
揚州の中心、河口の要衝。国でも指折りの華やかな街。うるわしき一族の統べる城。
ここはいつでも、にぎやかで新鮮な活気に満ちている。
そんな京城で、ちかごろ流行っているものといえば。
いつもの朝、城内の大広間。
彼らは左右に分かれてきれいに整列したまま、のんびりと語りあった。
「やっぱり今日は遅刻ですかのう?」
「三日前に視察からお戻りなったばかりですからなぁ。まだまだ、お名残りが尽きぬでしょうし」
「しかし、お戻りになった翌日は、時間どおり朝議においでになりましたぞ?これは仲謀さまもご成長なさったと、それがしは感心しましたが」
「ほっほっほ、ご無理をされておいでだったのじゃよ。げんに昨日は、思いっきり寝坊しておられた」
「うむ、さすがに一刻も遅れるとはそれがしも予想できませなんだ。これで三連敗ですな」
「では、今日はいかがしますかな?吾輩は、『小半時ほど遅刻する』に十銭を賭けますぞ」
「ほほっ、それでは儂は、半刻に二十銭といきますかのぅ」
「四連敗は避けたいですからな・・・・・・ここは仲謀さまの自制心と奥方さまの慎ましさを信じて、それがしは『ギリギリ間に合う』に十銭」
新婚の君主が朝議に出てくるまでの時間が、家臣たちの賭けになっている。
日が高くなって、とある回廊の片すみ。
侍女たちは掃除用のはたきを持ったまま、ひそひそとささやきあった。
「ねえねえ、きのうの黄家のおぼっちゃまとの逢瀬、どうだった?」
「ふっふっふ、バッチリ仕留めたわ!こんどウチの両親にもあいさつに行きたいって」
「ええーっ、やだ、すっごい!あの堅物を落としたのー?」
「いいなあ、ゆくゆくは大金持ちの奥さまなんて、うらやましいわ~」
「いままでいろんなコが迫っても、ちっともなびかないって評判だったのに。どうやったの?やっぱり色仕掛け?」
「あら簡単よ。ちょっと転んだふりして、こう・・・・・・足をちょっとね、裾からチラッと」
「まあ」
「それから『くじいてしまったみたいです』って言って、手当てしてもらいながら、さらに・・・・・・ね。これでイケたわ。毎晩、ムダ毛の手入れをしておいた甲斐があったってもんよ」
「やるわね。私も、こんど街に出たときに、足用の美容ぬり薬を買わなきゃね」
「・・・・・・やっぱり時代は足ね」
「ええ、足ね」
『玉の輿に乗りたければ巨乳より美脚』が若い女性のあいだでトレンド化。
もうすぐ正午、ひろい台所の一角。
城内のまかないを一手にあずかる料理人たちは、かまどの前に集合していた。
「・・・・・・完成だ・・・・・・ついにできたぞおおお!!」
「やりましたね、料理長!」
「みごとな焼き上がりです、料理長!」
「なんてうつくしい黄金色、なんて濃厚な香りなんだ!これが・・・・・・これが『ちーずけーき』なんですね!」
「そうだ、ようやくこのときが来た!・・・・・・苦節半年、奥方さまにお話をうかがって以来、試行錯誤と改良を重ねてきたこの『ちーずけーき』、ついに製法を会得したぞ!」
「ううっ、苦労したなあ・・・・・・あの牛の乳しぼりの日々、忘れません」
「ありがとう、諸君の努力あったればこそだ。この貴重な製法は、揚州の秘宝として、我われ料理人の輝く星となるだろう・・・・・・だが」
「ええ、料理長!ここで終わりではないですよね」
「その通りだ!奥方さまのおっしゃる異国の未知なる菓子……『てぃらみす』『しゅーくりーむ』など、まだまだ製法が解明されないままだ。我われはこれからも、料理のあらたな可能性を開拓し続ける!いいな!」
「はいっ、料理長!どこまでもついていきます!」
城の炊事場が、いつのまにかパティシエ養成所(熱血)になっている。
うららかな午後、城門から港へと続く大通り。
ところ狭しと並んだ店の軒先で、商人たちの元気なやりとりが続く。
「おっと、そこへ行くのは、南通りの旦那じゃねえですか!今日はどちらに?」
「よう、お前さんか。今日は港のほうにウチの船が着くんでね、検分にいくところさ。南方から、あたらしい布地を仕入れたんだ」
「そりゃあ景気のいいことで、うらやましい」
「なぁに、お前さんの店だって、さいきんは大繁盛だって噂だぜ。おかみさんご自慢の肉饅頭とエビの包み揚げ、あっというまに売りきれるそうじゃないか」
「へへっ、おかげさんで、今日も昼で完売です。女房も、これだけ売れりゃ毎日ご機嫌でね。こっちは女房のカミナリにビクビクしないで済んでます」
「ウチも同じさ。じつは今日の布地も、家内のおねだりでね。・・・・・・おおっ、お前さんも、この『呉印守』を買ったのかい?」
「もちろんですぜ!なんつっても、ご利益満点だって噂ですからね。ここらへんじゃ、みんな店先に下げてますよ。旦那は?」
「ウチはお札と厄除けの人形を買ったよ。毎朝おがむといいらしいね」
幸運と家内安全のお守りとして、呉印グッズがバカ売れ。
西の空がほのぼのと赤く染まるころ。街角のとある巻物屋。
息せき切って走りこんできた文士ふうの若者が、店主に向かって叫んだ。
「すまない、おやじさん!店じまいはちょっと待ってくれ」
「いらっしゃいませ・・・・・・って、ああ、はいはい。アレね、取ってありますよ」
「ほ、ほんとか?いやあ、助かる!さすがに今月は売り切れかと思った」
「お客さまには、いつもごひいきにしてもらってますからね。こんなこともあろうかと、入荷したときに、一巻だけ取り置きしておいたんですよ」
「さすがだなあ……ああっ、ありがとう!これこれ、待ってたんだ最新刊!『ドキドキ☆長江の初逢瀬』か!」
「たいそうな人気ですねえ。今日は朝から、お求めのお客さんがひっきりなしですよ」
「だろう?俺みたいな若造だけじゃなくて、いいとこのご令嬢やらご隠居さんまで、みんな読んでるんだ」
「たしかに、いま揚州でいちばん注目されてらっしゃるおふたりの話ですからねえ。しかも、お書きになってらっしゃるのが・・・・・・いったい何者なんですかね、あのご姉妹」
「おやじさん、それは禁句だ」
大喬・小喬姉妹の著作『もう残念とは言わせない~へタレ君主・初恋のゆくえ~』がベストセラーに。
あたたかくしずかな夜、城内の奥まった部屋。
こぢんまりとした食卓を、若い夫婦が仲むつまじく囲んでいる。
「なんだ、この黄色いの。菓子か?」
「うん、そうなの。わたしのいた世界のお菓子でね、チーズケーキって言うんだよ」
「へえ、かわった匂いしてんな。うまそうだが」
「すっごくおいしいよ!ぜんぜん向こうの味に負けてないんだもん、びっくりしちゃった。お城の料理人さんたちって、すごいね。あいまいな作り方しか教えてあげられなかったのに、ちゃんと作っちゃうんだもん」
「このあいだの『ぷりん』だったか?あれもうまかったが・・・・・・つーか、なんで菓子ばっかりなんだよ」
「うーん、ちゃんとしたお料理も、いろいろあるんだけど。調味料がやっぱりね、こっちと違うからむずかしくて」
「なるほどな・・・・・・近いうちに、また出入りの交易商に聞いておいてやるよ。おまえの故郷と似た味付けができるようなモンがあるかもしれねえし」
「ありがとう、仲謀。でもいまは、こっちのお料理を覚えるのが楽しいからいいの。ほらこれ、今日教わったの。豆と根菜の煮物なんだけど、どうかな?味付けだいじょうぶ?」
「おう、ちょうどいい。うまいな」
「よかった!あ、お茶のおかわり入れるね」
夫婦水入らずの、ゆったりとした甘いひとときが、何よりのしあわせ。
揚州の中心、河口の要衝。国でも指折りの華やかな街。うるわしき一族の統べる城。
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ごくふつうの乙女ゲーマーです。
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日々ウケと笑いをねらって生きてます。
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