台風17号の進路におられる皆さま、だいじょうぶですか?
くれぐれもお気を付けて・・・・
いちおう実家が農耕民族なんで、この時期の台風がどれだけやっかいか身にしみています。
稲がね!!倒れちゃうんですよ!!ばっさりと!!
稲穂が実って頭が重いから、風に倒れやすくなってるんですね。
しかもそこに、海から吹きあげてきた塩分がつくと、せっかくのお米が傷んでしまうというイヤなおまけつき。
稲刈りの時期は、毎年ハラハラします。台風KYー!と。
ともあれ、仲花SS「寵愛」UPです。
今回はちょっと注意書きが必要な内容です。
目を通されて、だいじょうぶと思われた方のみ「つづきを読む」からごらんください。
(※注)
・あからさまな描写はありませんが、「ご夫婦が夜にお布団のなかでいちゃいちゃ」している場面です。
・ちょっと揚州が不穏です。花ちゃんを受け入れているひとたちばかりではありません。
・暗めの話です。若干ですがヤンデレ風味です。苦手な方はおひかえください。
・短編のはず・・・・・なのに長くなってしまいましたごめんなさい。
くれぐれもお気を付けて・・・・
いちおう実家が農耕民族なんで、この時期の台風がどれだけやっかいか身にしみています。
稲がね!!倒れちゃうんですよ!!ばっさりと!!
稲穂が実って頭が重いから、風に倒れやすくなってるんですね。
しかもそこに、海から吹きあげてきた塩分がつくと、せっかくのお米が傷んでしまうというイヤなおまけつき。
稲刈りの時期は、毎年ハラハラします。台風KYー!と。
ともあれ、仲花SS「寵愛」UPです。
今回はちょっと注意書きが必要な内容です。
目を通されて、だいじょうぶと思われた方のみ「つづきを読む」からごらんください。
(※注)
・あからさまな描写はありませんが、「ご夫婦が夜にお布団のなかでいちゃいちゃ」している場面です。
・ちょっと揚州が不穏です。花ちゃんを受け入れているひとたちばかりではありません。
・暗めの話です。若干ですがヤンデレ風味です。苦手な方はおひかえください。
・短編のはず・・・・・なのに長くなってしまいましたごめんなさい。
「寵愛」
どれほどやさしく守られていても、親切な人たちにかばわれていても、噂はかたちを持たない風となって耳に忍びこんでくる。
陰にかくれてささやきあうほど、言葉の刺は鋭くなって、わたしの元に届くころには暗い毒の気配さえ帯びる。
いわく、「身のほど知らずだ」と。
どこの誰とも知れぬ得体のしれない娘が、せいぜい十人並みの容姿の娘が、他国の間者かもしれない娘が、大きな顔をして孫家当主の妻におさまっている。
揚州の華、碧眼の貴公子とうたわれる当代一の美青年を、みごとに籠絡し、恋の虜にして、正妻の座をねだりとった。あんなおとなしげな顔をしていながら、どんな手を使ったのやら。
あれこそ魔性、傾国、妖婦。孫家に災いをもたらすもの。
心あるものが早く仲謀さまのお目を覚ましてさし上げなくては・・・と。
「花」
ささやきに、背筋がふるえた。
名を呼ぶ声にこたえて、わたしの身体は感覚を取りもどす。なめらかな絹の敷布の感触、その表面をすべっていく肌が奏でるかすかな音、ふたりぶんの吐息が混じり合った味、彼の金色の髪からいつもただよう、水と風の香り。
うすく開いた目に映るのは、美しい青。
「・・・花」
甘く濃い闇のなかで、あざやかな青がわたしを見つめている。
しっとりと潤んだ、ふたつの青玉石。だいすきな人の目。誰よりもきれいな。
ふだんは日没後の空みたいな紺碧の瞳が、清冽なほどにまばゆい南の海の色に輝くのは、たいがいにおいて、ふたりきりの寝所で夜を過ごすとき・・・いまこのときのように、深くつながりあったあとの余韻にひたるときだ。
わたしがそのことに気がついた日から、もうどれくらいの時間が過ぎたのだろう?
身体のすべてを使って触れあいながら、高く高く昇りつめて、とろとろと熱い海にふたりで沈む。そんな夜をなんども繰りかえして、満たされてはすぐに乾いて、もっと欲しいと心が泣く。こんなふうに果てなく誰かが恋しくなるなんて、そんな気持ちを自分が持つなんて、思ってもみなかった。このひとに逢うまでは。
「くるしいか?」
すこし心配げにかすれた問いかけに答えたいのだけれど、唇は空気を食むのにせいいっぱいで、声はまだ喉の奥に消えたまま。もどかしく視線で訴えると、わかっているといわんばかりに、やさしい吐息が肩をなでた。
「花・・・」
熱くはじけた情の名残にしびれる指を伸ばして、骨ばった手にふれると、待ちかまえていたようにあたたかく包まれる。きつく抱きしめられるときとも、秘めた場所をさぐられるときともちがう、ゆるやかな快さに、微笑みが浮かんだ。
爪の大きさも指の長さも、節の固さも異なる、私たちの手。どこにも共通点なんかない。ただ今を生きて、出会って、恋をした。それだけで結ばれた。
この手を取るために、取り続けていくために、この世から失われてしまうものがあることを、わたしは知っている。
きのう、城からひとり、侍女が消えた。
若くて美人で、礼儀ただしくひかえめで、わたしにも愛らしく笑ってくれた。
そんな彼女がふところに持っていたのは、高価なおしろいでもきれいな紅でもなく、すきとおった苦い毒。
それを午後のお茶にひとしずく、落そうとして、見つかって、つかまって、縛られて、引きずられて、どこかへ連れていかれた。
ひそかに命令が下されて、兵士たちが出ていって、帰ってきた彼らの剣には濁った赤いくもり。
城下に店を構えていた薬種の商人がひとり、立派なお屋敷に住んでいる老いた家臣がふたり、やっぱりどこかへ連れていかれて、そのまま京城から消えてしまった。
誰も、わたしに何も言わない。みんないつもどおり、やさしくて親切で、わたしを守ってくれる。
それでもわたしは知っている。彼らが罪に問われたとき、兵士たちに捕えられたとき、血走った眼で何を叫んだのかを。
あれこそ魔性、傾国、妖婦。孫家に災いをもたらすもの。
心あるものが早く仲謀さまのお目を覚ましてさし上げなくては・・・と。
「・・・・・・花?」
気がつくと、彼の親指がわたしの目元に当てられていた。
剣と筆を握ることになれた、かたい皮膚の感触。小さなささくれも愛しい。
なぜそんなところに指を置くのだろう?ふしぎに思っていると、指がぬるりとなめらかに動かされて、やっと知る。自分が泣いていることを。
なぜだろう。泣くことなんて、なにもないのに。
わたしがこのひとの側にいると決めたことで、たくさんのひとの思惑が動いた。起こる波が高いことなんて、ずっと前からわかっていた。その波に惑わされないように、しっかりとこの地に足をつけて立とうと誓った。
後悔なんてない。何を見ても、聞いても、こころは揺らがない。
だからいま、涙が止まらないとするなら。
「どうした、なにか辛いか?」
「ううん、ちがうの」
自分こそが辛そうに、きゅっと寄った眉。整いすぎるほど整った顔が、いまはひどく叱られた子どもみたいで・・・泣かないで、と言いそうになって、それもおかしいと気づく。泣いているのはわたしなのに。
「ちがうの、辛いんじゃなくて」
頬におかれた大きな手の上に、自分のそれを重ねて、わたしは笑った。
「幸せだなあって、思ったの」
わたしをとりまく世界のなかに、ひとつ波が起こるたびに、このひとの腕がそれを鎮める。
誰かがわたしの背中に、そうっと黒い手を伸ばすたびに、このひとの青い眼がそれを斬り捨てる。
恨みの声も、流れた血も、憎しみの目も、反逆の刃も、当然のように身に浴びて、冷たく弾き返す。それがどうしたとあざ笑って、ついた傷すら誇るように。
そしてわたしに触れるのだ。高慢で俺さまでいつもガミガミ怒ってばかりの、優しいこのひとのままで。
なにも間違ってなんかいない、ふたりでひとつになるのが当たり前なんだと、わたしの身体と心に刻みこむ。わたしがそれを信じてしまうほど強く。
ああ、とため息がこぼれた。あたらしい涙といっしょに。
もしかしたらわたしの名前は、ずっと後の時代に、とんでもない悪者として伝えられるのかもしれない。いまも誰かが言うように、美しい王子さまをたぶらかした、ずるがしこい魔女だと。たくさんのひとの恨みを買った、ねじくれた悪女だと。
でも、たとえ正面からそうののしられても、きっとわたしは笑うんだろう。いまみたいに、こころから。
このひとを愛して、愛されて。そのために生きていけるなら、どれほど強く呪われてもかまわない。
「すごく、しあわせだって、思ったの」
腕を伸ばして、闇に白く浮き上がる彼の首筋にからめる。首飾りひとつしか身につけていないそこは、いつもより華奢に思えたけれど、すがりつけばやっぱりたくましい男のひとでしかなくて、恋しくてたまらなくなった。
すき、とつぶやけば、ちょっと息をのむような間があって、俺もだ、と返される。背中に回された腕に、痛いほどの力がこめられていく。すき間なく合わせた肌から立ちのぼる熱が、お互いの境目をあやふやにしていくのを感じながら、わたしは目を閉じた。
すべてを塗りつぶすような口づけが降ってくる前に、またひとつ、ため息がこぼれおちる。
もう涙は出なかった。
世の中のひとは言う。「仲謀さまは、恋の虜になってしまわれた」と。
世の中のひとは知らない。誰ひとり。わたしの大事なこのひとさえ気付かない。
この恋に溺れて、どうしようもなく堕ちてしまったのは、わたしのほうだ。
どれほどやさしく守られていても、親切な人たちにかばわれていても、噂はかたちを持たない風となって耳に忍びこんでくる。
陰にかくれてささやきあうほど、言葉の刺は鋭くなって、わたしの元に届くころには暗い毒の気配さえ帯びる。
いわく、「身のほど知らずだ」と。
どこの誰とも知れぬ得体のしれない娘が、せいぜい十人並みの容姿の娘が、他国の間者かもしれない娘が、大きな顔をして孫家当主の妻におさまっている。
揚州の華、碧眼の貴公子とうたわれる当代一の美青年を、みごとに籠絡し、恋の虜にして、正妻の座をねだりとった。あんなおとなしげな顔をしていながら、どんな手を使ったのやら。
あれこそ魔性、傾国、妖婦。孫家に災いをもたらすもの。
心あるものが早く仲謀さまのお目を覚ましてさし上げなくては・・・と。
「花」
ささやきに、背筋がふるえた。
名を呼ぶ声にこたえて、わたしの身体は感覚を取りもどす。なめらかな絹の敷布の感触、その表面をすべっていく肌が奏でるかすかな音、ふたりぶんの吐息が混じり合った味、彼の金色の髪からいつもただよう、水と風の香り。
うすく開いた目に映るのは、美しい青。
「・・・花」
甘く濃い闇のなかで、あざやかな青がわたしを見つめている。
しっとりと潤んだ、ふたつの青玉石。だいすきな人の目。誰よりもきれいな。
ふだんは日没後の空みたいな紺碧の瞳が、清冽なほどにまばゆい南の海の色に輝くのは、たいがいにおいて、ふたりきりの寝所で夜を過ごすとき・・・いまこのときのように、深くつながりあったあとの余韻にひたるときだ。
わたしがそのことに気がついた日から、もうどれくらいの時間が過ぎたのだろう?
身体のすべてを使って触れあいながら、高く高く昇りつめて、とろとろと熱い海にふたりで沈む。そんな夜をなんども繰りかえして、満たされてはすぐに乾いて、もっと欲しいと心が泣く。こんなふうに果てなく誰かが恋しくなるなんて、そんな気持ちを自分が持つなんて、思ってもみなかった。このひとに逢うまでは。
「くるしいか?」
すこし心配げにかすれた問いかけに答えたいのだけれど、唇は空気を食むのにせいいっぱいで、声はまだ喉の奥に消えたまま。もどかしく視線で訴えると、わかっているといわんばかりに、やさしい吐息が肩をなでた。
「花・・・」
熱くはじけた情の名残にしびれる指を伸ばして、骨ばった手にふれると、待ちかまえていたようにあたたかく包まれる。きつく抱きしめられるときとも、秘めた場所をさぐられるときともちがう、ゆるやかな快さに、微笑みが浮かんだ。
爪の大きさも指の長さも、節の固さも異なる、私たちの手。どこにも共通点なんかない。ただ今を生きて、出会って、恋をした。それだけで結ばれた。
この手を取るために、取り続けていくために、この世から失われてしまうものがあることを、わたしは知っている。
きのう、城からひとり、侍女が消えた。
若くて美人で、礼儀ただしくひかえめで、わたしにも愛らしく笑ってくれた。
そんな彼女がふところに持っていたのは、高価なおしろいでもきれいな紅でもなく、すきとおった苦い毒。
それを午後のお茶にひとしずく、落そうとして、見つかって、つかまって、縛られて、引きずられて、どこかへ連れていかれた。
ひそかに命令が下されて、兵士たちが出ていって、帰ってきた彼らの剣には濁った赤いくもり。
城下に店を構えていた薬種の商人がひとり、立派なお屋敷に住んでいる老いた家臣がふたり、やっぱりどこかへ連れていかれて、そのまま京城から消えてしまった。
誰も、わたしに何も言わない。みんないつもどおり、やさしくて親切で、わたしを守ってくれる。
それでもわたしは知っている。彼らが罪に問われたとき、兵士たちに捕えられたとき、血走った眼で何を叫んだのかを。
あれこそ魔性、傾国、妖婦。孫家に災いをもたらすもの。
心あるものが早く仲謀さまのお目を覚ましてさし上げなくては・・・と。
「・・・・・・花?」
気がつくと、彼の親指がわたしの目元に当てられていた。
剣と筆を握ることになれた、かたい皮膚の感触。小さなささくれも愛しい。
なぜそんなところに指を置くのだろう?ふしぎに思っていると、指がぬるりとなめらかに動かされて、やっと知る。自分が泣いていることを。
なぜだろう。泣くことなんて、なにもないのに。
わたしがこのひとの側にいると決めたことで、たくさんのひとの思惑が動いた。起こる波が高いことなんて、ずっと前からわかっていた。その波に惑わされないように、しっかりとこの地に足をつけて立とうと誓った。
後悔なんてない。何を見ても、聞いても、こころは揺らがない。
だからいま、涙が止まらないとするなら。
「どうした、なにか辛いか?」
「ううん、ちがうの」
自分こそが辛そうに、きゅっと寄った眉。整いすぎるほど整った顔が、いまはひどく叱られた子どもみたいで・・・泣かないで、と言いそうになって、それもおかしいと気づく。泣いているのはわたしなのに。
「ちがうの、辛いんじゃなくて」
頬におかれた大きな手の上に、自分のそれを重ねて、わたしは笑った。
「幸せだなあって、思ったの」
わたしをとりまく世界のなかに、ひとつ波が起こるたびに、このひとの腕がそれを鎮める。
誰かがわたしの背中に、そうっと黒い手を伸ばすたびに、このひとの青い眼がそれを斬り捨てる。
恨みの声も、流れた血も、憎しみの目も、反逆の刃も、当然のように身に浴びて、冷たく弾き返す。それがどうしたとあざ笑って、ついた傷すら誇るように。
そしてわたしに触れるのだ。高慢で俺さまでいつもガミガミ怒ってばかりの、優しいこのひとのままで。
なにも間違ってなんかいない、ふたりでひとつになるのが当たり前なんだと、わたしの身体と心に刻みこむ。わたしがそれを信じてしまうほど強く。
ああ、とため息がこぼれた。あたらしい涙といっしょに。
もしかしたらわたしの名前は、ずっと後の時代に、とんでもない悪者として伝えられるのかもしれない。いまも誰かが言うように、美しい王子さまをたぶらかした、ずるがしこい魔女だと。たくさんのひとの恨みを買った、ねじくれた悪女だと。
でも、たとえ正面からそうののしられても、きっとわたしは笑うんだろう。いまみたいに、こころから。
このひとを愛して、愛されて。そのために生きていけるなら、どれほど強く呪われてもかまわない。
「すごく、しあわせだって、思ったの」
腕を伸ばして、闇に白く浮き上がる彼の首筋にからめる。首飾りひとつしか身につけていないそこは、いつもより華奢に思えたけれど、すがりつけばやっぱりたくましい男のひとでしかなくて、恋しくてたまらなくなった。
すき、とつぶやけば、ちょっと息をのむような間があって、俺もだ、と返される。背中に回された腕に、痛いほどの力がこめられていく。すき間なく合わせた肌から立ちのぼる熱が、お互いの境目をあやふやにしていくのを感じながら、わたしは目を閉じた。
すべてを塗りつぶすような口づけが降ってくる前に、またひとつ、ため息がこぼれおちる。
もう涙は出なかった。
世の中のひとは言う。「仲謀さまは、恋の虜になってしまわれた」と。
世の中のひとは知らない。誰ひとり。わたしの大事なこのひとさえ気付かない。
この恋に溺れて、どうしようもなく堕ちてしまったのは、わたしのほうだ。
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日々ウケと笑いをねらって生きてます。
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