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PS2ゲーム「三国恋戦記」のいろいろ。 はじめて来られた方はカテゴリ「はじめに」をご覧ください。
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せっせとぶどうを食している昨今、梨をもらいました。
間髪いれずに、キウイフルーツも来襲。
冷蔵庫の中が果物かご状態です。おかずの余地はどこに。

秋の遠足イベント参加がかなわなくなりましたので、原稿候補にと書き溜めていたネタを、ちょこちょこUPしていこうかと思います。
かねがね、あげさんから「あんたがブログUPする話は長すぎる」とご指摘を受けていたので、なるべく短めに仕上げていこうかと。
まあ、いろんな余計な描写を描き込んでましたからね・・・・・・だって好きなんだ風景描写とか細かい心理描写とか!
花ちゃんのスカートのチラ見え具合とか、外套のすそのひらひら具合とか、リボンの角度とか結び目のゆるさとか、ねちねち書いてみたい(←誰得)!!

婚儀後設定の短編です。
OKな方は「続き」からどぞ。



「君に触れて」

 
 京城を長く離れる仕事のあと、帰ってきた仲謀はひどく消耗していた。
 こころなしか頬がそげて、目の下の隈はあきらかにどんよりと濃い。
 移動の辛さや、慣れない土地の気候のせいかな?と思っていたら、首筋をもみほぐしながら彼はつぶやいた。
「どいつもこいつも、腹の底を見せねえ狸ジジイどもばかりだ」
 幾多の勢力に分かれたこの国の、幾多の『権力者』さんたちのなかで、きっと仲謀はいちばん若い。
 『まつりごと』は交渉の繰りかえし。押して引いて、とぼけてかわして、笑ってみせる顔の裏で舌を出す。そんな裏表を巧みに使い分ける駆け引きが、根がまっすぐで短気な彼にはことのほか苦手らしい。いっそ戦場で剣を振り回していたほうがマシだと、げんなりした表情で言うものだから、つい吹き出しそうになって、青の瞳できつくにらまれた。
「なにがおかしい」
「だって仲謀、そのタヌキさんたちの前では、いつもどおりなんでしょう?」
 いつだってえらそうな君主さまの顔で、彼は揚州の頂点に立っている。
 俺さまを誰だと思ってる、俺の命令に従え。そう言わんばかりの笑みを浮かべて、『狸ジジイ』さんたちにも余裕たっぷりにふるまったのだろう。内心では「全員タヌキ汁にしてやりたい」と思っていても。
 彼が思いのままに怒鳴り散らしたり、頭ごなしに物を言いたてたりするのは、本当はごくわずかなひとに対してだけなのだ。
「意外にがまんづよいよね」
「意外にって言うな」
 長っていうのはそういうもんだ、とおもしろくなさそうにつぶやく。したくてもできないこと、したくなくてもしなくちゃいけないことが多すぎる。
 ただただ俺サマで高飛車で、いばりんぼうの王子さまにしか見えないこのひとが、思いのほかに慎重な、辛抱づよい性格だと知ったのは、出会ってからずいぶん経ったころだ。派手な見かけによらないなあと失礼な感想をいだいた私は、こうも思った。
 このひとって、いつも当主の責任とか民への義務とかのことばかり考えて、疲れたりしないんだろうか?
「ええと、お疲れさま」
「まったくだ」
 すんなりした足を投げだして座った長椅子、その肘かけに寄りかかった仲謀に、ちょっとこいと指先で招かれる。歩いていってとなりに腰かけようとすると、むっと眉根を寄せたきれいな顔が「ちがう」と言っていた。
「えっと……床に正座したほうがいい?」
「なんでそうなる」
 わからねえやつだなとため息を吐かれて、首をかしげるあいだに、伸びてきた長い腕に腰を捕えられる。
 くるりと回った視界にちょっとあわてているうちに、気がつけば膝に乗せられて、うしろからすっぽりと温もりに包まれていた。
「あー・・・・・・なんか、やっと帰ってきたって気がするぜ」
 左の肩に置かれた白いあごが、しみじみとそんなことを漏らす。遠慮なく重みを加えられて、なんとなく鎖骨が痛い。でも安心したように仲謀が笑うものだから、私もうれしくなって彼のこめかみに自分の頭をすりつけた。
 『まつりごと』ではほとんど力になれない私だけれど、『旦那さま』をくつろがせてさしあげるのも『奥方さま』のたいせつなお仕事ですよ、と古参の侍女さんが言っていたから、すこしは仲謀の役に立っているのかなあって思う。
 背中がとてもあたたかい。お日さまにぽかぽか照らされたみたいに。
 お帰りなさい、お疲れさま、やっと逢えてうれしい。胸に溜めていた言葉をひとつひとつ伝えるたびに、仲謀はうなずきを返してくれる。
「あ、すぐにご飯の準備をするね。それとも先にお風呂を使う?」
「どっちも後にしとく」
 背中の温度が、ふいに上昇する。
 今は甘やかせ、と耳元にささやきが落ちて、白くて長い人差し指が、私の唇にふわりと触れた。

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