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PS2ゲーム「三国恋戦記」のいろいろ。 はじめて来られた方はカテゴリ「はじめに」をご覧ください。
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掘りたてのサツマイモをもらいました。
わーいわーいと調理開始。めでたく大学イモになりました。
秋の味覚襲来で果物かご状態の冷蔵庫にジャストイン。
・・・・・・しまった、またしてもおかずの余地がなくなった・・・・・・!!

「できるだけ短く仲花SS」のコンセプトにのっとり書いた、仲花SSをUPしました。
時期的に、合肥遠征前です。仲→花っぽい感じで。制服的大好物なり!

意識してみじかい話にする、というのは、制服にはちょっとむずかしい作業だったりします。
ひとによって書きやすい話の長さというものがあるのでしょうが、制服は、だらだらとろとろ延々と書くほうが好きなタイプ。
だから携帯小説みたいに、みじかくキリッと1話1話をまとめられる書き手さんは尊敬します。
すごいなどうやって書いてるんだ(←余計な風景とか服装とか天気の描写は書かないんだよ)。

ちょっと仲謀が(青春的な意味で)痛い目みてます。
許せる方は「続きを読む」からどうぞ。


「届かない」
 

「・・・・・・でね、すっごいおもしろいんだってー!」
「そうそう、こーんなおっきな箱に入ってねー!くるくるって回るんだって!」
 日差しがまぶしい回廊を通りかかると、階下の中庭から声がした。
 きゃあきゃあと楽しげにはしゃぐ、少女たちのおしゃべり。よく似かよったかん高い声の合唱に、わざわざ見下ろしてみなくても、そこに誰がいるのかすぐにわかった。
「ぜったい気に入るよ、行こう行こう!」
「行こー!」
 大喬と小喬、声同様に外見もそっくりなあの姉妹が、また何かあたらしい遊びをはじめたのか。箱が回るって何だ。
 無邪気な見た目に反して、悪知恵がはたらくことでは揚州で五指に入るヤツらのことだから、また誰か迷惑をこうむらなければいい(・・・・・・俺が被害者になることが多すぎるし)が、と心にいささかの不安をおぼえながら歩み去ろうとすると、
「えっ、街にですか?今からですか?」
 姉妹のせわしないさえずりのなかに、それよりはだいぶ落ち着いた、けれどやはり高く澄んだ少女の声が混じった。
 妹のものではない。それもまた、すぐに誰なのかわかる。今度は、足がひとりでに止まった。
 吸い寄せられるように欄干に手をついて中庭を見下ろすと、よく手入れされた庭の緑のなか、思ったとおりの面子がそろっていた。
「だぁいじょうぶだよー、お城のすぐ近くだもん!」
「おやつの時間にはもどってこないとねー、今日のおやつはごま団子だもん!」
 見なれた脳天気なチビふたりに、それぞれ片手を取られて、みちびかれるように歩いている女。
 肩口で切りそろえたまっすぐな髪と、ほの明るい桃色の外套の袖が、たよりない足取りにあわせて揺れている。
「はあ、ごま団子・・・・・・」
 返事とも、ため息ともつかない、戸惑いをふくんだ声。
 それを『甘い』と感じるのは、たぶん俺の耳に(耳だけでなく身体の全部と頭のなかにまで)特殊なまじないがかかっているせいだ。
 いつから、とか、なんであいつに、という問いはもう、俺にとって意味のないものだ。まじないは解けない。寝ても覚めても、のど元にわだかまった熱が消えない。
 見つめていると、息が苦しい。苦しいのに、うれしいと思う。我ながらやっかいだ。
 けらけら笑いながらまとわりつく姉妹に、困ったようなあいつの声が言う。
「ええっと、おやつはともかく、わたし、お城の外に出てもいいんでしょうか?」
 怒られるんじゃないかな、と続く台詞に、欄干をつかむ指に力が入った。『誰に』が抜かれていたが、そこに入る名前が、自分のものだということは明らかだ。
 
 ちがう、と。
 
 叫びそうになって、唇をかむ。
 たしかに今、あいつの身をあずかっているのは俺だ。この城にいるかぎり俺に従えと命令したし、このあいだ、勝手に荊州に帰ることは許さないともつけ加えた。
 でも、それはあいつを閉じこめようとか、不自由な思いをさせようとか、そんなつもりで言ったんじゃない。ただ俺の力がおよばない場所に、遠くにいかれたくなかっただけだ。この腕に揚州をかかえた俺は、ここからどこにも行けないから、離れたくなければあいつを留めておくしかない。

 行ってこい、と。
 
 声をかけるために、息を吸い込む。
 ここに戻るなら、俺のもとに帰ってくるなら、好きなように出歩けばいい。姉妹は街にくわしいから、きっとお前を楽しませるだろう。いまは仕事中だから付きあえないけれど、そのうち時間を作って、俺がどこかに連れて行こう。揚州は豊かでうつくしい土地だ、お前に見せたい景色がたくさんあるんだ・・・・・・
「あーっ、仲謀だー!」
「ほんとだー、ちゅーうぼーう!」
 目ざとい姉妹に見つけられ、指をさされて名を呼ばれ、出しかけた言葉が引っこむ。
「あのねー仲謀、いまねー、街に、すっごくおもしろい芸人一座が来てるんだってー!」
「南の国から来たんだってー!七色にピカピカする鳥もいるんだってー!」
「わたしたち見に行ってくるねー、花ちゃんもいっしょだよ!」
「いっしょなんだよー、うらやましいでしょ仲謀ー!」
 耳にキンキンとひびく二重奏に、いつものようにたたみかけられる。いらついて、おまえらちょっと黙れと怒鳴ろうとすると、こっちを見あげるふたつの大きな目と視線がぶつかった。
「・・・・・・・・・・・」
 『なんでそこにいるの』とか、『なにを言われるんだろう』とか。
 こわばった気持ちをすなおに映したあずき色の瞳が、気弱そうになんども瞬きをする。
「・・・・・・・・・・・・」
 みるみるうちに柔らかさを失くす表情。機嫌をうかがうような上目づかいは、ちいさな動物が猛獣に近づかれるのを恐れているみたいだった。
「・・・・・・・・・・・・」
 無意識のうちにか、ほそい肩が固くすくめられているのを見たところで・・・・・・耐えられなくなって、俺は目をそらした。

 うるせえ、俺の知ったことかよ。

 吐き捨てるように言って、足早に立ち去る。姉妹がなにか不満そうにわめいていたけれど、なにも見たくなかったし聞きたくなかったから、わざと乱暴に靴音をたてて歩いた。
 行きあった家臣や兵士たちがおどろいて道を開けるのも無視して、やみくもに足を動かし、何度目かの曲がり角で柱に身体をぶつけたところで、ようやく止まった。
 汗の浮かんだ額を片手で押さえて、思う。きっと俺は、ひどい顔をしているだろう。
 寝ても覚めても、のど元にわだかまった熱が消えない。その熱が、いまは刺すような痛みになって、甘い幻想をあざわらう。
 俺を見て、笑ってほしい。たったそれだけの願いすら叶わないくせに、と。
 
 ここにいろと命じた。勝手に出ていくことは許さないと言った。
 あいつはそれに従って、俺のすぐ側にいる。いつでも会える。
 
 それでもこの手はまだ、あいつには遠く届かない。


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