忍者ブログ
PS2ゲーム「三国恋戦記」のいろいろ。 はじめて来られた方はカテゴリ「はじめに」をご覧ください。
<< 04  2024/05  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31    06 >>
[12]  [11]  [10]  [9]  [8]  [7]  [6]  [4]  [3]  [2]  [1
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ラブコレ発行の仲花本「月夜」の内容サンプルをUPしました。
本文の抜粋です。
「つづきを読む」からごらん下さい。

この部分の切り取りで適当だったのかどうかの自信は無いのですが・・・(汗)


「十六夜」より

  視線を伏せて考えに沈んでいた仲謀は、侍従が続けた言葉にあわてて意識を現実に戻した。忠実な彼は、主君からの問いかけになるべく正確に答えようと、まだ記憶を探っていたらしい。
「そういえば使者殿は、本日、食事をお召し上がりにならなかったと聞きましてございます」
「……なに?」
「昼と夕方、侍女がお部屋まで膳をお持ちしましたが、お返事いただけなかったと。中にいらっしゃる気配はしたとのことで、どうもお休みになられているようだ、と侍女は申しておりました」
「…………」
「しかたなく、水差しに干菓子を添えて、お部屋の隅に置いてきたそうでございます」
 仲謀は完全に箸を置いて、侍従に向きなおった。いきなり真剣さを増した主君の表情に、侍従はわけもなく額に汗をかいた。
「寝ているだけか?たしかに?」
「は、あの、侍女も、寝台まで確認したわけではございませんで……ただ、そのような気配だった、としか」
「…………」
「軍師を勤めておられるとはいえ、かよわい女人の身、長旅のお疲れが出たのでございましょう」
ぎくり、と心臓が跳ねた。
「……っ、そうだな」
 ひどく動揺した自分を隠すため、仲謀はふたたび食膳に向かう。侍従の困惑した視線を拒否するように、ただ黙々と料理を口に運び続けた。


「……う……いっ、いや、違うぞ、これは偶然だ」
 ガチガチに固まった背中に、なんとも言いがたいがどことなく非難がましい視線を注がれているのに気づいて、仲謀はあさってのほうを向いたまま引きつった声音でつぶやいた。
「べつに、俺は、最初から離れに行くつもりなんてなくて、全然まったく、ただ適当に歩いてたら来ちまったっつーか、そもそも離れの位置なんかよく知らなかったっつーか」
 冷静に考えれば、なぜそこまで必死に家臣に対して弁解しなくてはならないのかと気づきそうなものだが、このときの仲謀は、護衛が抱いたであろう『あらぬ誤解』を打ち消すことだけしか頭になかった。城主の、いや男の名誉に関わることである。
 忠実な武人は何も言わず、うろたえる主君の背後で、夜にまぎれて端然とひかえている。その沈黙がなおさらいたたまれなくて、仲謀は頬どころか額まで赤くして力説した。
「誤解するなよ、わざとじゃねえぞ。ただ、そうだ、その、あ、あんまり……月が……みごとで、それでフラフラ誘われて……って」
 あああ、と仲謀は絶望的なうめき声をあげて、ついにその場にしゃがみこんだ。

拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
secret (管理人しか読むことができません)
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
フリーエリア
最新コメント
[10/17 あげ]
[10/08 あげ]
[09/29 あげ]
[09/29 ぼたん(管理人)]
[09/28 あげ]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
制服ぼたん
性別:
非公開
職業:
ガテン系
趣味:
いろいろ
自己紹介:
ごくふつうの乙女ゲーマーです。
ごくふつうにNLカポーが好きです。
日々ウケと笑いをねらって生きてます。
バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター

Copyright (c)合肥のあたり。 All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  Material by Pearl Box  Template by tsukika


忍者ブログ [PR]